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映画『ボヘミアン・ラプソディ』をレビュー

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 映画館の大音量で「クイーン」の名曲が楽しめる、それでいてドキュメンタリーとしても秀逸な映画です。

「クイーン」の歴史をなぞる映画ということで、クイーンファンは必見の映画だと思います。私はクイーンの有名な楽曲なら知っていますが、バンドやメンバーに関する背景知識は全く知りませんでした。鑑賞した一番の動機は、映画館の迫力で有名な楽曲が聞けるであろうことでした。そんな安直な入りでしたが、ストーリー回しも秀逸で、フレディ・マーキュリーの人生の浮き沈みに一喜一憂し、のめり込んで楽しめました。監督はブライアン・シンガー、脚本はアンソニー・マクカーテンです。

 

あらすじ

伝説的なロックバンドであるクイーンのメインボーカル、フレディ・マーキュリーの波乱万丈な人生を描いたドキュメンタル的映画。

※以下、ネタバレあり

主なキャスト

・フレディ・マーキュリー(ラミ・マレック):クイーンのリードボーカル。理念・言動含め圧倒的なカリスマ。自分の名前が気に入らなかったのはまだしも、苗字すら嫌だった。フレディ・マーキュリーは芸名。過剰歯だが、いい声が出るということで治さなかった。ボーカルが抜けたブライアンとロジャーのバンドに追加メンバーとして入った。

・ブライアン・メイ(グウィリム・リー):クイーンのギター。リーダー的存在。背が高い。天文学を学んでいた。

・ロジャー・テイラー(ベン・ハーディー):クイーンのドラム。・イケメン。とにかくモテる。バンドが売れなければ歯医者になる予定だった。

・ジョン・ディーコン(ジョゼフ・マゼロ):クイーンのベース。みんなからの扱いが雑。

・メアリー・オースティン(ルーシー・ボイントン):フレディの結婚相手。ルーシー・ボイントンはとにかく可愛い。

 

雑感

終始フレディ・マーキュリーの視点で描かれます。

物語前半はカリスマ・フレディの快進撃で小気味良いです。

フレディの発案で、バンドで使っていたバンを売り払って初アルバムを作り、それがレコード会社の目に留まり、瞬く間にスターダムにのし上がっていきます。またプライベートでも、無名時代にライブハウスで知り合ったメアリーと付き合い、良好な関係を築いていきます。フレディは男女という枠に留まらず彼女を一人の人間として尊重しており、彼女への信頼は何よりも深いと感じられました。そしてついにプロポーズし、結婚を果たします。

そんな幸せの絶頂にいたフレディですが、著名になるにつれ徐々に孤独が影を落としていきます。成功者・カリスマの孤独というのはありがちな描写だと思いますが、フレディの場合は彼の性的な立ち位置によって過剰に追い詰められていったことが見てとれました。

ある時、フレディは自身がバイセクシャルであることを自覚します。一念発起してそれをメアリーに告白しますが、メアリーから「あなたはゲイよ」と言われてしまいます。彼女はとっくに気づいていながら、それを認めることで訪れる結果を恐れて黙っていたのでした。しかし、フレディの告白を受けて別れを決意します。同居を解消し、隣(?)の家同士に住むことになります。

ただ、変わらず一貫していることは、フレディは彼女を心底愛していて、何よりも必要としていることでした。フレディの一途さ、純粋さが感じられました。性的な齟齬はありましたが、フレディのメアリーに対する感情は真の愛と言っても良いのではないかと感じました。

彼女と距離が離れたことで、フレディは孤独のドツボに嵌っていきます。

メアリーへの未練を捨てきれないながらもゲイであることを受け入れたフレディですが、世間の風当たりは非常に冷たいものでした。アルバムの会見でも、メディアは音楽の話よりもフレディのプラーベートに関して執拗に責め立てます。LGBTへの理解が深まってきた今の時代ではありえないことですが、当時はかなり白い目で見られたようです。生まれてきた時代が少し違えば、と思わずにはいられませんでした。

バンドの活動は、フレディが勝手にソロデビューを決めてしまった件もありメンバーと疎遠になって停滞してしまいますが、やはり自分には家族同然のメンバーが必要であることに気付き、謝罪のうえ和解します。そして最後はバンド・エイドのライブで大団円。

ライブ・エイド前の練習で、フレディは自身がエイズであることをメンバーに告白します。メンバーはショックを受けますが、フレディは全く悲観しておらず、同情も願い下げだと言います。エイズによる肺炎で死去します。

最後まで、メンバーとメアリーはフレディにとっての家族だったようです。

劇中歌について

劇中歌として多くの名曲が流れます。いずれもフルバージョンではありませんが、劇場の大音量・高音質で聞く価値は十二分にあります。

フレディ曰く、「ボヘミアン・ラプソディは叙事詩」だそうです。アルバムの中でもメンバーの最推し曲でしたが、約6分と長く、これは当時のラジオに乗せるには難しい長さ(一般的には3分)であり、レコード会社の偉い人には煙たがられ、他の曲を推すことになりました。それが不満なフレディはゲリラ的にラジオ曲に「ボヘミアン・ラプソディ」を落ち込んで流してもらったようです。

 

まとめ

年齢層が若年寄りではなさそうなので、一人鑑賞にオススメできる映画です。誰かと一緒に観に行くのにももちろん適していますが、セクシーな描写がありますのでオトナ同士で行かれると良いかと。特に恋人と行くのがオススメです。男女を超えた愛情が一つのテーマになっていると思います。

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