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映画『未来のミライ』をレビュー

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家族と観たい。連綿と続く家族の繋がりと成長を描いた群像劇的ムービー

監督・脚本・原作は細田守。

 

良かったところ

家族が家族になる過程が丁寧に描かれている

子育てあるあるなんだろうな、という描写が丁寧に描かれていました。妹ができたことで両親の関心が奪われてくんちゃんが赤ちゃん返りしてしまったり、夫婦間で子育てに対する温度差があったり。

一方で、くんちゃん、そしてミライちゃんが成長していくのはもちろん、子育てを通じてお母さんとお父さんも成長していきます。両親は時に過去の自分と子どもたちの姿を照らし合わせつつ、新しい単位としての家族の形を模索し絆を深めていきます。子どもが成人した時に、親も親としての成人を迎えると言われることがありますが、親にとっては子どもの年齢がそのまま親としての年月であるとともに、家族としての年月になるのだなあと気付かされました。

子どものわがままだったり、夫婦間の考え方の違いだったり、いろいろなものをお互いに埋め合わせながら、家族って形成されていくんだなあ。親の視点を知らない子どもだとなかなか気づけないことですよね。

大人だって誰もが子どもだった

くんちゃんが、幼い頃の、くんちゃんと同じくらいの年頃のお母さんと出会うエピソードがあります。現代のくんちゃんは何かにつけてお母さんを怒らせてばかりですが、小さい頃のお母さんも派手に暴れてお母さん(くんちゃんから見るとおばあちゃん)にどやされるシーンが出てきます。これは現代のお母さんからは想像もつかない姿なわけですが、くんちゃんはお母さんも生まれつきしっかりしていた訳ではなく、くんちゃんと同じような普通の子どもだったことを目にするのです。これも子どもの視点ではなかなか気づけないことでしょう。親子で映画を観にきている方たちをみて、なんだか微笑ましい気持ちになりました。「お母さんもあんなだったの?」なんて会話が繰り広げられるのかなあ、なんて。

観客はくんちゃんを通して家族を見る角度の多様性に気づく

くんちゃんは、それぞれの時代の家族と実際に触れ合うことで知りえなかったことを知り、少しずつではありますが自分の成長に繋げていきます。観客もくんちゃんを通して家族という存在を見る角度がたくさんあることに気づくことができます。

いろいろな年代の登場人物がピックアップされるので、家族が集まって、それぞれの立場で共感して観ることができるであろうことも良い点だと思いました。

微妙だったところ

メッセージが先行し過ぎているのではと感じた

伝えたいメッセージが、ストーリーより前に出てきてしまった映画かなと感じました。まず第一に魅力的な物語を展開させること、そのなかで必要があれば伝えたいメッセージを織り込んでいくことで一本の作品が成立するのかなあと。本作は一本のストーリーというよりは、教育テレビのオムニバスアニメを繋げて一本の映画にした、というような印象を受けました。どうしてもチグハグというか、エピソードごとにぶつ切りな感じが出てしまうとともに、エピソードごとのテーマが明確なぶん観客の解釈の幅を狭めているのかなあと思います。

タイトルや予告映像から連想された展開ではなく肩透かし感があった

くんちゃんが未来からきた妹のミライちゃんと織りなす冒険活劇、みたいな展開を想像していましたが、実際は違いました。ちなみに管理人が鑑賞前に入れた事前情報はテレビCMのみでした。管理人の見当違いと言えばそれまでですが、同様の誤解をしていた方も多かったのではないでしょうか。これはあくまで先入観によるもので作品自体とは関係がないことですが、想定と、もっと言ってしまえば期待と大きく異なる物語が展開していくため、どうしても作品に没頭することができませんでした。

くんちゃんの声は無理があるかも

演技は何一つ問題ないですし可愛らしいのですが、あの年頃の子どもの声というには無理があるのではないかと。違和感があって集中がかき乱されました。

 

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