SSD(Solid State Drive)は、記憶媒体にNANDフラッシュメモリーという半導体メモリーを用いたデータの補助記憶装置です。
小型かつ軽量で衝撃に強い、静音性が高い、消費電力が低い、高速であるなど多くのストロングポイントを持つことから、ノートPCはじめ多くのデバイスに採用されています。
近年では低価格化が進み、大容量モデルも入手しやすくなってきました。
SSDには大きく分けて外付けSSDとPC内蔵SSDがありますが、ここでは内蔵SSDについてまとめていきます。
SSDのタイプ
SSDには①2.5インチタイプ、②Mini Serial ATAタイプ、③M.2タイプ、④PCI Expressカードタイプがあります。
接続方法としてはそれぞれ、
・2.5インチタイプはSerial ATA接続
・Mini Serial ATAタイプはMini Serial ATA接続
・M.2タイプはSerial ATA接続とPCI Express接続
・PCI ExpressカードタイプはPCI Express接続
が用いられます。
2.5インチタイプ
Serial ATA 6Gb/s接続であれば理論的な最大転送速度は600MB/sです。対応インターフェイスはAHCIです。
Mini Serial ATAタイプ
Mini Serial ATAスロットに直挿しします。小型でノートパソコンなどに用いられます。Serial ATA 6Gb/s接続であれば理論的な最大転送速度は600MB/sです。対応インターフェイスはAHCIです。
M.2タイプ
Serial ATA 6Gb/s接続であれば最大転送速度は600MB/sです。対応インターフェイスはAHCIです。
PCI Express 3.0×4対応であれば最大転送速度は4GB/s(PCI Express 3.0は1レーンあたり8Gbit/s=1GB/s)です。これはSerial ATA 6Gb/s接続の6倍以上と非常に高速です。対応インターフェイスはAHCIとNVMeですが、性能を十分に発揮するためにはインターフェイスがAHCIではなくNVMeである必要があります。AHCIはHDD用の規格で、SSDが高性能化を遂げるにつれボトルネックとなってしまうようになりました。そこでPCI Express接続でSSDの力を十分に引き出すべく、SSD用の規格として登場したのが「NVMe」です。
サイズが22×42mmの2242、22×60mmの2260、22×80mmの2280があります。
PCI Expressカードタイプ
PCI Expressスロットに直挿しします。ヒートシンクが大きくM.2タイプより冷却性能が高いのが特徴です。RGBを搭載したモデルもあります。
SSDの構造
NANDフラッシュメモリー
不揮発性メモリーです。搭載数を増やすことで容量が増え、高速化します。1セル(素子)に1ビット(0,1の2種の値)の情報を記録可能なSLC(Single Level Cell)、1セルに2ビット以上の情報を記録可能なMLC(Multi Level Cell)があります。便宜的に2ビット(4種の値)のものをMLC、3ビット(8種の値)のものをTLC(Triple Level Cell)と呼ぶこともあり、現在では一般的な言い回しとなっています。セルを垂直に積層して密度を高めた3D NANDも登場しています。
コントローラーチップ
インターフェイス、フラッシュメモリーへのアクセスを制御・提供します。
Serial ATAコネクター
2.5インチタイプのSSDではSerial ATA 6Gb/s接続が主流です。
電源コネクター
電源ユニットからSerial ATA用の電源コネクターを接続します。
SSDの価格と性能を左右する要素
NANDフラッシュメモリーの性能
SLC・MLC・TLC・QLCの違い
前述した通り、1セルに1ビットの情報を記録可能なSLC、2ビット記録可能なMLC、3ビット記録可能なTLC、そして4ビット記録可能なQLCと、1セルに記録可能なビット数によって性能が異なります。
SLC→MLC→TLCと1セルあたりに記録可能なビット数を増やすことでチップ1枚あたりの容量を増やし、容量あたりの単価を引き下げることが可能です。一方で書き込み速度、信頼性・耐久性は低くなっていきます。
ビット数を増やしたNANDフラッシュメモリーでも、一部の領域をSLCとして動作させてキャッシュとするなどの工夫で書き込み速度の高速化を図っています。ただし、その領域まで使い切ってしまうと本来の速度しか発揮できなくなります。
2018年現在ではTLCのモデルが一般的になり、近いうちにQLCがメインストリームになっていくと見込まれます。
3D NANDか否か
従来は平面上に配置されているセルを垂直に積層した3D NANDは、容量・耐久性に優れていると言われています。
容量による違い
当然ですが容量が大きいモデルほど高価になります。
性能面は同社の同シリーズのモデルでも、容量によって異なります。一般的には容量が大きいほど性能は高くなります。
SSDは仕様上、HDDと異なりデータの書き換えを直接行うことができません。
書き換えを行う際には、書き換え前のデータに直接上書きするのではなく、書き換え後のデータの書き込みと書き換え前のデータの消去という二本立てになります。書き換えの度に、書き換え前のデータをいちいち消去する必要があるということです。この消去を行わないと、その領域には新たにデータを書き込むことができません。つまり、●●GBというような空き容量とは別に、書き込み可能な領域という概念があることになります。
具体的には、①書き換えない必要なデータを別領域に退避させる、②不必要な書き換え前のデータを消去する、③書き換えないデータと書き換えたデータを元の領域に書き込む、というプロセスを経る必要があります。このプロセスであれば書き込み可能な領域の枠は、書き換え前と変わりません。
しかしこれでは速度が確保できないので、他の空いている領域(書き込み可能な領域)に書き換えたデータの書き込みを行ってしまい、後から書き換え前のデータを消去するという処理が行われます。この処理を行うためには書き換えの度に新たな書き込み可能な領域が必要になるわけですが、使い続ければいつかは全ての領域を使い切ってしまいます。使い切ってしまえば本来の面倒なプロセスを経ることになり、当然速度が低下します。
この速度低下を避けるべく、ガベージコレクションという必要なデータの整理・不必要なデータの消去により空き領域を確保する機能があります。データの整理整頓をして逐一書き込み可能な領域を確保してくれるわけです。SSDの容量が大きい方が相対的に書き込み可能な領域が多いので、速度確保の点で有利になります。
DRAMキャッシュの有無・性能
コントローラーの性能
接続方式
Serial ATA 6Gb/s接続であれば理論的な最大転送速度は600MB/s、PCI Express 3.0×4対応であれば最大転送速度は4GB/sとなります。
HDDと比較したSSDの特徴
SSDの優れている点
・駆動部品が存在しない。そのため衝撃に強く、静音性が高い。また消費電力が低い。さらに小型かつ軽量。
・データの読み出し・書き込みが高速。シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスともにHDDを大きく上回る。
SSDの劣る点
・HDDと比較して容量あたりの単価が高額。結果として同価格帯だと容量が少なくなる。
・書き込み回数に上限がある。